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3年後離職率に注目!

3年後離職率に注目!

いきなりですが、この記事をお読みの皆さんは「ブラック企業」という言葉をご存じかと思います。

いつ頃から使われ始めた言葉なのか諸説あるようですが、2008年のリーマンショック以降耳にするようになった気がします。

ブラック企業といえば、長時間労働の常態化、パワハラ、セクハラ等の横行、サービス残業の蔓延など、就職先として選びたくないところですが、企業内の実際の労働環境は、外部からはなかなかうかがい知れないのが現状です。

そのような時、ブラック企業かどうかを推し測る指標のひとつとして、「3年後離職率」という数値があります。

今回のテーマは、最近学生の方のキャリア相談を受けていて話題に上ることの多い3年後離職率についてです。

1. 3年後離職率とは

3年後離職率とは、文字通りある年に新卒入社した人のうち、その後3年の間に離職した人の割合です。

統計データとしての3年後離職率は、厚生労働省がハローワークにおける雇用保険の加入届をもとにしたデータを集計し、毎年秋頃に公表しています。

厚生労働省の3年後離職率は、次のとおり計算されています。(図1

図1

図1のとおり、厚生労働省のデータでは、1年後、2年後、3年後と1年毎の離職率も合わせて公開されています。


また、個々の企業における3年後離職率は、東洋経済新報社発行の「就職四季報」が各企業にアンケート調査を行い結果を掲載しています。

就職四季報の3年後離職率は、次のとおり計算されています。(図2

図2

図2のとおり、就職四季報のデータでは、離職者の数を調査しているのではなく、在籍者の数から離職率を割り出しています。

就職活動中の学生の方や、その支援に携わる人々にとって手放せない資料のひとつ就職四季報ですが、手元にある過年度版をめくってみますと、2007年版から3年後離職率が掲載されています。

最新の2019年版(2019年3月に卒業する人向けという意味で、発行は2017年11月)であれば、2014年4月に新卒入社した人達の、2017年3月末時点の3年後離職率が掲載されています。

ただし、3年後離職率が「NA」と記載されている企業も多数見られます。

「NA」は「No Answer(非公開)」の略で、東洋経済新報社のアンケートに企業側が回答しなかった項目ということになります。

回答しない理由は個々の企業毎にあるとは思いますが、一般論で言えば「隠している」という印象で受け止められると思います。

2. どのように判断すれば良いのでしょう

では、自分が就職先として考えている企業の3年後離職率が掲載されていたとして、どのように判断すれば良いのでしょうか。

ここでは、3つの方法を順に見ていきたいと思います。

2-1. 統計データと比較する

まず、1つ目の方法として、先ほどの厚生労働省が公表している統計データとの比較です。

2017年9月に発表された最新の情報(2014年3月の卒業者における2017年3月までの離職状況)を見てみましょう。

新規学卒就職者の3年後離職率(学歴別)では、

  • 大学卒:32.2%
  • 短大等卒:41.3%
  • 高校卒:40.8%
  • 中学卒:67.7%

となっています。

中学卒の方の3年後離職率が特に高くなっていますが、これは就職先の選択肢が狭く、また十分なキャリア教育を受けることなく就職している状況であることが一因として考えられます。

過去10年間の推移は、次のとおりです。(図3

図3

図3のとおり、2005年の卒業者から2014年の卒業者まで大学卒の方の場合、下は28.8%で上は35.9%となっていて、概ね30%の3年後離職率と言えそうです。

大学卒の方であれば、この30%という数字が、ひとつの判断材料として考えられます。

ただし、これは調査した産業の平均の数字であり、より細かいデータも公表されていますので、そちらも見ていきましょう。


新規大学卒就職者の3年後離職率(事業所規模別)では、

  • 1,000人以上:24.3%
  • 500~999人:29.8%
  • 100~499人:31.9%
  • 30~99人:38.8%
  • 5~29人:50.2%
  • 5人未満:59.1%

となっています。

事業所規模の大きな1000人以上の場合24.3%で、規模が小さくなるのに反比例して3年後離職率は上昇し、5人未満の場合59.1%となっています。

もちろん、規模が小さければ採用人数も少なく、例えば2人採用して1人が離職すると50%になりますから離職率が高まる傾向が見られますが、一般的には企業の規模が大きいと比較的労働環境が整っていると考えられますから、この結果はそれらも影響していると思います。


新規大学卒就職者の3年後離職率(産業別)では、次のようになっています。(図4

図4

図4のとおり、業界によっても3年後離職率は大きく異なり、世間でも良く言われているとおり、「宿泊業・飲食サービス業」が最も高く50.2%となっています。

また、最も低いのは「電気・ガス・熱供給・水道業」の9.7%となっています。


ここまで見てきたように、企業規模別や業界別などの統計データを利用して、自分が就職先として考えている企業の3年後離職率を比較してみるのがひとつの方法です。

2-2. 同業他社のデータと比較する

次に、2つ目の方法として同業他社との比較です。

就職四季報で、同業他社の3年後離職率を調べ、自分の就職したい企業の数字と比較してみるのです。

先ほど、業界ごとに3年後離職率は大きく異なることを見ましたが、実際には同じ業界の中でも企業によって大きな差があることも考えられます。

その場合、なぜそのような差が生じているのか深掘りしてみる必要があるでしょう。

就職四季報には、「給与」、「残業」、「有給休暇」など3年後離職率以外の情報も掲載されていますから、それらを総合的に比較しつつ、自分なりに仮説をたててみましょう。

2-3. 自社の過去データと比較する

そして、3つ目の方法として自社自身の過去のデータとの比較です。

就職四季報では、3年後離職率の欄には前年の3年後離職率のデータも掲載されています。

さらに余力があれば、過年度の就職四季報にも目を通し、自分の就職したい企業の3年後離職率を抜き出し推移を見てみると、傾向が見えてくるはずです。

先ほどの同業他社との比較についても、過去データまで遡って比較することは有効です。

過年度の就職四季報の入手方法については、大学のキャリアセンターなどで相談してみてください。

2-4. データを見る際の注意点

ここまで見てきた、

  • 統計データと比較する
  • 同業他社のデータと比較する
  • 自社の過去データと比較する

といった手順は、何も3年後離職率に限った話ではなく、企業研究をする上で、売上高であったり利益率であったりといった数字を検討する際にも同じ手順が使えますので参考にしてください。

ただし、中程にも書いたとおり、割合のデータは分母の多少により大きく変動しますので、「率」だけでなく「実数」も確認するように心がけてください。

たとえば、図4新規大学卒就職者の3年後離職率(産業別)を実数の3年後離職者数で見てみると次のようになります。(図5

図5

図4では、「鉱業、採石業、砂利採取業」の3年後離職率は2番目に低い11.9%でしたが、図5のとおり、実数だと分母が218件と他の業種と比べるとデータ数が少なく、実態を反映していない可能性もありそうです。

3. どのような意味があるのでしょう

では、最後になりましたが、3年後離職率が高いとどのような意味があるのでしょうか。

冒頭で、ブラック企業かどうかを推し測る指標のひとつと書きました。

ブラック企業の定義というのは、色々な識者の方や団体でそれぞれ定義されていると思いますが、どのような定義であれ、新卒入社後3年以内に離職する人が多いという結果から見て、労働環境になんらかの問題を抱えていると類推することができるからです。

また、3年後離職率を見るということは、自分が入社した3年後を見るということでもあります。

多くの人が新卒入社後3年以内に離職していく職場であれば、自分も3年以内に離職してしまうかも知れない、そんな企業は避けたい、と考えるのが自然でしょう。

したがって、就職四季報で3年後離職率を「NA」とし開示を避けている企業は、判断材料を提供していないわけですから、応募に際しては良く検討する必要があるでしょう。

たとえば、過年度の就職四季報から、毎年の「従業員数」と「採用人数」を拾い出し、その推移を見てみることなどは、検討方法のひとつです。

毎年大量に採用しているにもかかわらず、従業員数があまり増えていないのであれば、3年後離職率が高い可能性があります。(団塊の世代の退職や、中高年の方のリストラなどの要因も考えられるので、一概には言えませんが。)

また、企業の設立年数にもよりますが、「平均勤続年数」なども参考になるでしょう。


ただし、3年後離職率の高さは、就活の際に企業を評価する重要な判断材料ではありますが、必ずしもブラック企業とイコールではないケースもありえます。

世の中には法令違反もなく労働環境も整っていながら、仕事そのものがキツい職場もあるからです。

例えば、3交代制などで深夜勤務が発生する職場などは、かりに割増賃金や労働時間、休暇など法令にしたがった環境であっても、肉体的、精神的な負担から3年後離職率が高まることが考えられます。

企業側が3年後離職率が高い合理的な理由を説明できて、その説明に応募者側が納得できるのであれば、「募集要項」で「労働条件」をしっかりと確認した上で応募を検討する価値はあると言えます。


はじめての就職活動で企業研究について不安に思っている学生の方も多いと思いますが、まずは情報を収集し、その内容を吟味し、わからない部分は教員やキャリアセンターなどに相談し、理解した上で判断をする、といった当たり前のプロセスを積み重ねて行くことから始めていきましょう。

その過程で、今回のテーマである3年後離職率について、否が応でも目に触れることになると思います。

その際に、この記事を思い出していただければ幸いです。


最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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